社会福祉法人監査

1.社会福祉法人監査の目的と必要性

社会福祉法人は、過去において、補助金の不正受給や親族への不正支出等が多発したことから、社会的影響の大きい一定規模を超える法人の場合に、公認会計士による監査の義務化が広がっています。また、毎会計年度、社会福祉充実残額を算定し、これが生じる場合には、社会福祉充実計画の作成が義務付けられました。 社会福祉充実計画の策定に当たっては、「公認会計士、税理士等からの意見聴取」を行い、確認書として入手することとされています。

 

2.会計監査人監査が義務付けられている対象法人

適用対象となっている法人は以下のとおりで、段階的に対象範囲の拡大が予定されている。 ただし、必要に 応じて見直しを検討するものとされている。

  導入時期 対象法人
平成29年度、30年度 収益30億円を超える法人又は負債60億円を超える法人 
平成31年度、令和2年度 収益20億円を超える法人又は負債40億円を超える法人
令和3度以降 収益10億円を超える法人又は負債20億円を超える法人

 

3. 上記に該当しなければ監査は必要ないか?

上記の基準に該当しない法人につきましては、法律で義務化され法定監査という意味では必要ありません。

但し、今後、社会的な要請の強まり等から法律の改正を通して順次その適用範囲の拡大が想定される状況にあると考えられます。

そのような状況を踏まえ、他の法人に先駆けで会計監査の準備、導入を行うことで、社会的な要請に積極的に応えることができるもと考えられます。

 

4.会計監査を受けるメリット

社会福祉法人が監査を受けるメリットは主に以下の通りになります。

・会計監査人を置く法人では、計算書類等は、理事会の承認を受ける前に、監事と会計監査人による二重の監査を受ける必要がありますが、会計監査人による計算書類等の監査が適正に行われているときは、監事は計算書類等の監査を省略できます(監事監査の省略可)。

・指導監査要綱の見直しの際、会計監査人監査において確認する会計管理の関する監査事項の重複部分を省略することができます(行政監査の一部省略可)

・会計監査を受けている場合は、3年に1回の指導監査が5年に1回に緩和されます。

・競争入札制度の適用条件が一部緩和されます。

・適時、適切な経営判断に不可欠な信頼性の高い財務情報を適時に把握できる管理体制の整備・経営力強化に寄与できる。

・不正発見の早期化や、不正の抑制効果が期待できます。

・各種規程・内規の整備及び運用を適時に見直すきっかけとなり、経理業務の業務手順書・フローチャートなど、業務フローに関する文書の充実が期待できます。

 

5.社会福祉法人監査の流れ

会計監査人監査を受ける必要が生じたとしても、すぐに監査を受けることはできません。

監査を受ける前年度に監査を受ける体制が整っているかの調査(予備調査)を受ける必要がありますので、その調査後の体制整備の改善期間をある程度、見込んでおくことが大切です。

大まかな流れは以下のとおりでありますが、個別に法人の状況によって実施時期は異なることにご留意ください。

(監査実施の流れ)

  段階 監査手続
予備調査 監査を受けるにあたって、法人の現状を把握、認識するための作業を行います。業務フローや過去の会計処理、財務数値の閲覧、関係者へのヒアリング等。
改善受入 ①の結果を受けて、指摘事項の改善を実施していただき会計監査を受けるにあたっての下地を確立していただきます。
期中監査 1年分の資料を一度に確認することは、監査受ける側、する側双方にとっての負担が高くなるため年度の途中で、確認できる事項のチェックを行い効率性を高めます。
実査立会確認 現金や有価証券等の現物確認、在庫を保有している場合には、倉庫等への立会、預金や借入金、債権債務等の残高確認状の送付を実施いたします。
期末監査 メインとなる年間の監査を実施いたします。
意見表明結果報告 ⑤を受けて、法人の決算数値が適切か否かの意見表明を行い、監査結果のご報告を致します。

(関連)社会福祉法人Q&A

 

6.どのような会計士による監査を受けるべきか

会計監査は監査を受ける法人の個々の業態に応じて、どこに会計を誤るリスクがあるかその法人の事業を理解したうえで監査計画を立てます。ここで、その業界に対する知識を有する会計士であれば、予め事業に対する理解があることから、効率的な監査を提供することが出来ます。

ここで、厚生労働省が実施した会計監査に関するアンケートによると、一部の会計監査においては形式面でのチェックに偏っているという回答もあり、そのような会計監査が一部で行われていることを非常に残念に感じています。(参考)社会福祉法人の会計監査の効果

当事務所では介護福祉経営士試験に合格した介護福祉経営の知識を有した公認会計士が監査業務を提供しています。また、中堅事務所ならではの柔軟で臨機応変な対応を心掛けていますので、貴社の負担とならない監査をご提供します。関東を中心に、相談に応じて全国対応していますので、まずはご相談をください。

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2020年3月24日追記

当事務所代表が介護の知識を持った公認会計士として業界雑誌のインタビューを受けました。

監査報酬

  対象法人 標準監査報酬(税別)
収益30億円超 or 負債60億円超 5,200,000円~
収益20億円超 or 負債40億円超 3,800,000円~
収益10億円超 or 負債20億円超 2,800,000円~
収益10億円以下 & 負債20億以下 1,400,000円

※2020年3月31日時点

※監査報酬は監査に必要な時間の積み上げで決定されます。

※上記は標準的な報酬のため、事業内容や施設数に応じて個別にお見積りさせて頂きます。

※すでに会計監査人が決まっている場合にも、ご相談に応じます。