PPA後、暫定のれんは負ののれんに逆転しえるか

(Question)

PPAが超過収益力を企業結合日から1年以内に無形資産含む資産・負債へ配分することであることは理解しました。この場合、この超過収益力を暫定でのれんと判断していたにもかかわらず、PPAによって負ののれんに逆転することはありえるのでしょうか?

(Answer)

はい、理論上はあり得ると考えます。

例えば実質債務超過額100億円の企業をスポンサーとして0円で買収したとします。

この場合の暫定のれんは100億円です。この被合併法人はアニメキャラクターの著作権を保有しており、現在は利益が出ていませんが、全世界的にこのアニメキャラクターが有名となってきており、今後5年間で非常に多くの収益・利益をもたらします。これにより、PPAの結果、芸術関連無形資産として130億円の価値があると判断された場合、もともとの暫定のれん100億円は、負ののれん30億円に逆転します。

 

”理論上は”とお話ししたのは、企業買収においてPPAは当然の手続きであり、会計基準上、企業結合日から1年以内というルールがあったとしても、実務的には買収検討時、つまりクロージング前にプレPPAを行っています。そのため、その後の精緻なPPAで識別される無形資産の金額が確定したとしてもプレPPAから大きく変動することは想定されていません。

そもそも、プレPPAもせず、経済合理性を検討していない買収を行っている企業があったとすると、その経営者は本当に経営者でしょうか。取締役とは最善を尽くして企業の財産を守らなくてはならず、もしそういったことが上場会社の有価証券報告書などで判明し場合には、間違いなく責任追及を受けることになるでしょう。

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※上記の意見にわたる部分は当事務所の見解であり、個別の会計・税務処理に対して何ら保証するものではないことをお断り申し上げます。