ファンドにおける受入追加出資手数料の処理

(Question)

当ファンド(LPS)において新規組合員の加入がなされます。この際、LPAにおいて新規組合員より追加出資手数料が支払われるとされていますが、ファンドの会計処理としてはどのような処理となりますか。

(Answer)

LPSとしての会計処理、支払項目は全てそれぞれのLPAに記載されており、追加出資手数料の処理方法はLPAごとに異なります。

追加出資手数料とは後から出資を行ったことによる時間的価値、運用実績を確認してから出資できることへの後出し手数料などが混在しています。

LPAを法律事務所等により作成される場合、経済産業省のひな形をベースにカスタマイズすることが多くありますが、ひな形も日々更新されています。特に追加出資手数料についてはひな形の解説文にも複数の記載方法が掲載されており、どの記載を採用したかにより処理方法が変わります。追加出資手数料の記載方法は大きく区分して以下の2点です。それぞれのファンドの特性、経済背景からどのように設計すべきかは法律専門家と協議いただきたいところですが、会計の立場からは以下の相違が生ずることを記載いたします。

①免除/除外条項を設けず、かつ、既存組合員への払戻しを行わない場合

理論的な処理とはならないと考えます。

他の条文との兼ね合いですが、受入追加出資手数料は基本的には組合財産として受け入れることになります。上記の追加出資手数料の趣旨からすると、その手数料は新規組合員が負担する手数料となります。しかし、新規組合員加入によりファンドへの各組合員の出資比率は変動(既存組合員出資比率の減少)します。

その後、四半期または決算期が行われ、各組合員の組合財産は新出資比率で配分されることとなります。つまり、新規組合員が支出した追加出資手数料の総額は、既存組合員に行きわたらず、一部が新規組合員の財産に戻ってくる結果となります。これは、出資比率が変わるたびに取り込む損益を変動させ、利益剰余金で調整するといった連結財務諸表の作成概念とは異なることから生じます。

よって、仮に受入追加出資手数料をLPSが収入処理を行った場合、新規組合員の連結財務諸表(支配とみなされる場合)には同一開示書類内に収入と支出が混在することとなります。

②免除/除外条項を設け、かつ、既存組合員への払戻しを行う場合

理論的な処理となると考えます。

新規組合員からの追加出資手数料を既存組合員に全額配分することで上記のような問題点が生じなくなります。LPAによっては追加出資手数料をGP口座を経由する場合や、LPS口座にて仮受として経由する場合が見受けられます。

ただし、毎回の事務処理負担が増加することから、余裕金の投資効率にそれほど関与しないという組合員が集まっている場合は①のような記載とすることもあるかと思います。

 

一度、貴ファンドのLPAの見直しをしてはいかがでしょうか。

※上記の意見にわたる部分は当事務所の見解であり、個別の会計・税務処理に対して何ら保証するものではないことをお断り申し上げます。