高成長企業の評価

(Question)

高成長企業は過去の実績と将来計画が全く乖離していることがありますが、このような企業の株価はどのように評価すれば良いのでしょうか。

(Answer)

まず、前提として高成長企業の評価は非常に困難なものとなります。ITバブル前のネット関連企業は、過去の実績や十分なキャッシュ・フローの裏付けもなく急騰することもあれば、急落することもあります。そのため、収益が安定している企業の評価のように過去実績を分析し、一定の成長率を加味して計算する単純な永久成長モデルとして評価することができません。

このような場合には、ミクロ経済のファンダメンタルズ分析ののち、複数のシナリオの発生確率に応じて加重したDCF法が有効と考えられます。

評価に必要な要素は通常のDCF法と大きく異なることはありませんが、分析の順番が異なります。

つまり、まず過去実績を分析するのではなく、高成長企業が取り扱う製品やサービス市場全体について現時点を含む長期的な分析・予測を行い、その予測をもとに過去の実績の評価を行います。

また、将来が極めて不確実であるため、楽観的、平時、悲観的など複数のシナリオを用意し、各シナリオ条件下における収益計画がどのように変化するか考慮します。各シナリオの発生確率はファンダメンタルズ分析から統計学を用いて計算することになると考えられ、非常に複雑なものとなります。

そのため、理論的にはシナリオの加重平均による評価となるところ、実務上はそのボラティリティを割引率に反映する方法が取られていることも見受けられます。

※上記の意見にわたる部分は当事務所の見解であり、個別の会計・税務処理に対して何ら保証するものではないことをお断り申し上げます。