(Question)
投資判断をする際、NPVとIRRはどちらを使用すべきでしょうか。
(Answer)
NPVかIRRかは、企業の置かれている経営環境・事業目的によって使い分ける必要があります。
NPV
NPVの長所は、額で評価するため分かりやすく説明しやすいことが挙げられます。そのため、投資に関する企画書を作成する際には採用しやすい指標です。
これに対しNPVの最大の短所は、パラメータである割引率を自ら仮定しなければならない点です。割引率が1%相違すると、その結果はまったく異なるものになってしまいます。また、投資初期にはプラスのキャッシュが出にくいが、将来的には大きなプラスになるような良い投資があっても、将来部分についてはディスカウント率が高いため、採用されにくくなってしまいます。
IRR
IRRは、投資のハードルレートといわれますが、その計算過程はNPVとなんら変わりません。単純に、NPV=0となる割引率を計算して算出します。投資判断は、計算された割引率を超えるような投資であれば採用するし、下回れば不採用とすることになります。
デメリットは、投資の金額規模が不明となること、長期の投資案件に対しては、IRRが複数計算されてしまう点です。
借入や資本の調達の自由度がある企業にとっては、NPVがプラスなのであれば全ての投資を行うべきとの判断になります。しかし、実際には際限なく資金調達できるわけではありません。
したがって、冒頭記載した経営環境・事業目的による使い分けとは、例えば、
・株主構成
・中長期計画の考え方
・経営理念
・財務状況
・M&A戦略
などで考える必要があります。
※上記の意見にわたる部分は当事務所の見解であり、個別の会計処理に対して何ら保証するものではないことをお断り申し上げます。