固定資産の現況調査

(Question)

私は会社の経理を担当していますが、先日固定資産台帳に記載されている備品が紛失していることが発覚しました。固定資産を管理する上で留意することはありますでしょうか。

(Answer)

小規模事業であれば固定資産として何を有しているか把握することは困難ではありませんが、組織が大きくなるにつれて、固定資産の管理が難しくなります。固定資産を購入、処分する担当者と会計処理をする担当者が異なる場合には、情報の伝達漏れにより会計処理が漏れることがあります。また、固定資産台帳で管理されている固定資産と現場で使用されている固定資産の状態に食い違いが発生している場合には、想定していた業務に支障が生じる虞があります。さらには、従業員が固定資産を窃用してしまう可能性もあります。

こういった問題を防止・発見するためには、定期的な固定資産の現況調査を行うことをお勧めします。年に1度は固定資産台帳を打ち出して、実際に現物があるか、使用できる状況であるか、処分すべきものがないかをチェックすることで上述の問題点を把握することが可能になります。

固定資産の現況調査は業務の管理目的のみならず、固定資産税の適切な納付に役立てることができます。ここで、固定資産税は毎年1月1日を賦課期日とし、土地・家屋及び償却資産といった固定資産の価額を基に税額を算出して納める税金になります。そのため、固定資産台帳に使用していないものがあればこれを適時に処分することで不要な固定資産税の納付を抑えることができます。賦課期日が1月1日になるため、実務上は前年の11月~12月に現況調査を行う会社が多くなっています。

以上のように、固定資産の現況調査を定期的に行うことは経営管理・会計の観点から重要になりますので、定期的に実施することをお勧めします。

※上記の意見にわたる部分は当事務所の見解であり、個別の会計・税務処理に対して何ら保証するものではないことをお断り申し上げます。