経営に貢献する内部監査とは

(Question)

当社は規模拡大に伴い内部監査室を設け、毎月、各部門で不正がないか、コンプライアンスにかかるような事例がないか調査し、役員に報告させています。内部監査室は監査チェックリストを作成し、しっかりやっているようなのですが、最近、監査が形骸化し、何のために監査しているのかあいまいになっています。そもそも内部監査の目的とはどのようなものでしょうか。

(Answer)

内部監査室とは、監査役、会計監査人(公認会計士)とまとめて三様監査と呼ばれる非常に大切な組織です。内部監査室は、監査役や会計監査人と異なり、法的に位置づけられた組織ではありません。原則として経営者の自主的な判断により、経営者の直轄部署として会社内を調査する権限を与えられた自主規制部門と言えます。

内部監査の目的は会社により様々で、貴社の内部監査室のように不正防止、コンプライアンス違反防止に注力している場合と、会社の利益を上げるために行われている場合があります。不正防止などは絶対的に必要な統制の一つですが、それだけでは確かに監査が形骸化する可能性があります。

他方、会社の利益を上げるために行われている内部監査とは、業務上の無駄などを発見し、改善助言を行うこととなります。

そのため、近年の内部監査では、会社の各部門の業務に精通した者を集結させ、従来型に加え、以下のような内部監査が行われています。内容によっては、従来、各部門が行っていたことを内部監査室が行うという場合もあります。

例)予算実績分析、人員不足によるIT化促進、部門間意見調整、親子会社間意見調整、販売価格・仕入価格設定の適切性確認

つまり、内部監査には、どこまでという概念がありません。もちろん監査は自己監査となってはならないという原則がありますが、部門ごとに存在するインセンティブを考慮せず調査できる部門は内部監査室しかありません。よって、内部監査室の業務範囲を広げることで、会社の利益を向上させる監査部門とすることができると考えられます。

※上記の意見にわたる部分は当事務所の見解であり、個別の会計・税務処理に対して何ら保証するものではないことをお断り申し上げます。