事業価値と企業価値について

(Question)

事業価値と企業価値の違いについて教えてください。

(Answer)

事業価値は事業投下資本から生み出される価値のことをいいます。事業価値の計算方法にはいくつかありますが、DCF法による場合、リターンである将来フリーキャッシュフローをリスクである資本コストで割り引くことで算定されます。いいかえれば、その企業が将来生み出す将来フリーキャッシュフローの現在価値になります。

 

事業価値=将来FCF÷資本コスト

 

企業価値は事業価値に非事業投下資本の価値を加えた企業全体の価値となります。事業価値はDCF法の場合、フローで計算されますが、非事業投下資本の価値はストックで時価評価される点が相違します。ここで、時価とは一般に評価時点での売却可能額であり、含み損益がある場合には税効果を考慮する必要があります。非常投下資本はフリーキャッシュフローの生成に直接寄与していない資産であり、具体的には現預金、有価証券、遊休土地などがあります。

 

企業価値=事業価値+非事業投下資本の価値

 

なお、企業価値のうち、負債権者に帰属する価値が有利子負債であるため、企業価値から負債権者の価値である有利子負債を引いたものが株主価値となります。

 

株主価値=企業価値‐有利子負債

 

上記の事業価値、企業価値、株主価値は混同されることが多いですが、意味しているものが違うため、表現する際には留意が必要になります。

※上記の意見にわたる部分は当事務所の見解であり、個別の会計・税務処理に対して何ら保証するものではないことをお断り申し上げます。