会計ソフトの選び方

(Question)

数多くの会計ソフトが発売されていますが、当社ではどのソフトを購入すればいいのでしょうか。

(Answer)

会計ソフトは、思った以上にメーカーにより特色があります。そのため、貴社の状況や、どのような機能を求めるかにより、購入すべきソフトは異なります。どのソフトが良いとは言いませんが、メーカーの考え方は以下のような部分に特色が現れます。

【試算表、月次推移表】

開いた際に、まず貸借対照表が表示されるか、損益計算書が表示されるかで判定することも考えられます。

これは、財産を重視した考え方か、利益または発生する税金を重視した考え方かの違いです。

株式会社などの有限責任会社は、会社の財産状況を一目で確認する必要があります。万が一、財産・現預金が回らなくなったら、どれだけ黒字でも倒産です。

これに対し、個人事業主や合名会社などの無限責任事業については、発生する税金がいくらかを重視することになります。個人事業主などは、事業としての資金が足りなくなったら、事業主が出せば良いだけですし、銀行等も個人事業主を果ての果てまで追って取り立てできるため、財産状況は検討する必要性が薄いためです。ただし、これらの組織形態はファイナンスの関係から大規模事業に発展しにくい物です。

よって、貴社がある程度の規模の企業や、これから先資金調達を行って規模を拡大していきたいというお考えであれば、開いた際に貸借対照表を優先的に表示させる会計ソフトが良いでしょう。

【インストール型かクラウド型か】

近年では、ブラウザさえあればどこからでもログインして使用できるクラウド型の会計ソフトが主流となってきました。従来からあるインストール型との比較でメリット・デメリットがあります。

クラウド型のメリット…会社でも自宅でも時間のある際に会計できる。ソフト自体がクラウドのため、他のサービス(クレジットカードWeb明細やインターネットバンキングなど)とのクラウド上の連携が容易。従業員それぞれにアカウントを設定することで、経費精算などが紙や郵送をせず簡単にできる。

クラウド型のデメリット…従来のインストール型のソフトに比べると機能が足りない。資金繰り、指標分析、予算実績対比など、まだまだ機能化できていないことがある(2020年8月現在)。給与ソフトなどを組み合わせたパッケージの場合、従業員数などが増加すると割高となる。

よって、1人会社や数人の会社の場合や、給与計算は社会保険労務士に外注するなどの場合はクラウド型のメリットを実感できます。ある程度の規模になってくると、資金繰りが複雑になったり、予実対比が必ず必要になるため、これらをEXCELなどで別管理したくない、またはできないとのことであればインストール型のソフトの方が良いでしょう。

※上記の意見にわたる部分は当事務所の見解であり、個別の会計・税務処理に対して何ら保証するものではないことをお断り申し上げます。