予算の機能とは

(Question)

前述より、予算が重要な経営管理ツールであることは理解しました。このツールの機能をもう少し詳細に説明ください。

(Answer)

予算には①計画、②調整、③伝達、④動機、⑤業績評価の5つの機能があります。

①計画…予算は出資者及び経営者等が定めた財務的な目標を財務諸表または試算表ベースまで落とし込んだ計画になります。これにより、誰が何をすべきかの道筋となります。

②調整…予算は部門ごとに設定されます。通常、部門ごとに行っている業務は異なり、また、各責任者ごとに考え方が異なります。この場合に、各部門責任者に予算を立てさせ、全社として集計した際に、部門間不公平などが生じないように、営業部門どおしの調整(水平的調整)や、本部部門と営業部門の調整(垂直的調整)を行うことが必要になる。

③伝達…出来上がりの予算は、社内全体に伝達されます。経営者及び各部門責任者だけの目標ではなく、全員が一致団結していく方向感の伝達になる。

④動機…調整、伝達が行われた予算は、決して達成不可能な目標値ではなく、各責任者及び従業員の動機付けがなされます。調整された予算は「自分たちで決めてコミットしたものだし」という感覚により、やる気が形成されます。

⑤業績評価…予算は実際に達成してこそ意味のあるものになります。部門や個人の業績評価には予算と実績の差異分析により行うことができます(予実分析)。部門により、どの指標の予実を業績評価に使用するかは異なります。例えば、本社部門であれば基本的に売上を計上しないため、経費予算に対し業績評価しますが、営業部門については、売上予算や利益予算を業績評価に使用します。ただし、この予実のみを業績評価に使用すると、社内がギスギスするため、これ以外の定性的な指標も業績評価には必要ではあります。

※上記の意見にわたる部分は当事務所の見解であり、個別の会計・税務処理に対して何ら保証するものではないことをお断り申し上げます。