経理部の存在意義

(Question)

私は経理部で、他部門からコストセンターと言われます。我々経理部の費用は、各営業拠点に本部費として割り振られるため、経理に関する問い合わせを行っても拠点に煙たがられます。経理部の存在意義とはどのようなものなのでしょうか。

(Answer)

コストセンターとは、収入を生まず費用のみ発生する間接部門を言います。主に経理部・総務部などのバックオフィスがそれにあたります工場は他部門への内部収益を計上しているため、ここではプロフィットセンターとします)。おっしゃる通り、営業などのプロフィットセンターからすると、営業所長などが管理不可能な本社部門費を配賦されるため、コストセンターは嫌われ者になりがちです。

確かに経理部はそれ自体で収入を生みません。では取締役などの役員はどうでしょうか。仮に取締役会を一部門と考えると、同じようにコストセンターとなります。しかし、会社の運命を左右する経営判断を行う取締役会を不要と考える方はいないはずです。

経理部は単に記帳・申告だけを行っているわけではありません。毎月、各拠点から非常に多くの情報を吸い上げ、経営判断に資する多くの資料を作成します。

・売上管理資料の作成

・月次決算資料およびその明細の作成

・予算実績分析

・外部報告用資料作成

これらの資料は、株主総会や取締役会、その他の経営会議に提出され、その情報を基に経営者が経営判断を行います。したがって経理部は、株主や取締役が利益を生み出す経営判断を行う資料の作成部門、つまり情報の製造部門になります。経理部作成の細かい分析がされた情報がなければ、経営者が良い収益を上げることができないばかりか、経営判断を誤らせることにつながります。このため、経理部は、物の工場と同様の性質を持ち、経営を支える縁の下の力持ちであることが存在意義でしょう。

もちろん、ワンマン経営などにより税務申告のみを目的とした経理部である場合にはコストセンターであることは変わりありません。しかし、経営者や利害関係者が増えてきた一定規模以上の企業にとっての経理部は、会社に絶対的に必要な参謀部門であるといえます。

※上記の意見にわたる部分は当事務所の見解であり、個別の会計・税務処理に対して何ら保証するものではないことをお断り申し上げます。